TTM対話録 #04
CORRESPONDANCES AHUM
姉(あね)さん

2022.09.09
TTM対話録 #04<BR>CORRESPONDANCES AHUM<BR>姉(あね)さん

SENSEで今回展開するのは、鉱物から採取した香りを用いるフレグランスブランド・CORRESPONDANCES AHUMとのコラボレーション。AHUMで鉱物の選定を担当する姉(あね)氏は、WEBメディア「占い師と弟」の霊能師で、あらゆるもののエネルギーを幼少期から感じていたという。洋服にもエネルギーは宿っているのか? 武笠がAHUMからインスピレーションを感じて描いたテキスタイルから、姉氏が感じたものは?目に視えない世界を生活に取り入れる意義と悦びにまつわる対話。

 

姉:本題に入る前に、1ついいですか? 武笠さん、今日エネルギーの流れがとっても綺麗ですね。

 武笠:本当ですか? 姉さんにお会いするので部屋を浄化しておいたんです。朝からセージとパロサントを焚いていました。あと一昨日、ブランドのインスタライブで瞑想会を海の近くでしたので、そこで自然に触れてきた影響もあるのかな。

姉:すごくエネルギーが綺麗に流れていますよ。この間お会いしたときとは全体的に気の流れが違っている。いいですね。

 武笠:ありがとうございます。今までも香りに没入していくような経験はあったんですけど、AHUMの香水を使わせていただいたときに、自分の中に入っていく感覚がいつもと違った気がしたんです。染み込んできて、自分の中の何かに触れる感じがしたというか。どうしてこのように魂に働きかけるような反応が出るのか、じっくり姉さんとお話ししたいなと思いました。

 

 姉:こうしたスピリチュアルな世界って偏りがちな部分があるので、それらをファッションやインテリアに生かしてもっと身近にしていくことに私も興味があったんですよね。目に視えない世界をライフスタイルに取り入れて生きていくことは精神衛生上もすごく良い部分があるし、本来の人間らしい生活ができるから。なので今回のコラボもすごく楽しみです。

武笠:うれしい。姉さんは小さい頃から、あらゆるもののエネルギーを視てきたんですよね?

 姉:生まれたときから、他の人とは全然違うものが見えていたと思います。例えば人が1人いたとして、背後にある霊体や、その人から出てくるエネルギーがいろんな色になって部屋の中に飛び散っているのが見えたり。人間の肉体以外にも、木が水を下から吸い上げているときにエネルギーの動きが見えたり、素潜り中に数km先にいる大きな魚の存在を感じたり……全てのエネルギーを感じていました。中学生くらいの頃に「こういうものは普通の人には視えないんだ」ということがわかってきて、霊体が見えないようにスイッチを切れたりと、コントロールできるようになっていきましたね。

 武笠:そのエネルギーというのは、色がついているんですか?

 姉:色がついているときもあれば、陽炎のようにウニョウニョとしているというのかな。そういうときもあります。

 武笠:例えばお洋服も、そのものの持つエネルギーが視える?

 姉:以前ドイツの古城での中世のドレス展示会に行ったときに、「これは私のもの。誰にも渡さない」という、着ていた方のすごく強い念が染み込んだものを見たことがあります。あと、何世代もかけて作られた絹の着物に、自然本来の生命的なエネルギーをすごく感じたこともありましたね。元の素材そのものにエネルギーがあると、洋服として形になってもなおエネルギーをまとっているものなんだなって。

 武笠:洋服って素材がまずあって、デザインして工場でそれを作って……お客様に届くまでの間にすごくいろんな過程があるんですけど、私は、自分が吹き込んだエネルギーや思いをお洋服と一緒に受け取ってもらうことで、その人の持つ周波数や何かを変えられるんじゃないかなと思っているんです。例えばファストファッションブランドの服と、デザインやパターンメイク、素材探しに時間をかけて作った服とでは、エネルギーの違いはあるんでしょうか?

 

姉:やっぱり念の入り方が異なりますよね。着る人のために集中して作られたものは、洋服の繊維にまで念が編み込まれていることがあります。霊感の強い方だったら、まとった瞬間に気持ちが強く通り過ぎてしまうこともある。モデルさんから聞いた話ですが、ショーのランウェイで次から次へと着替えていく際に、3着目で涙が止まらなくなってしまったと。後から聞いたら、その3着目にはデザイナーさんの強い気持ちが込められていたそうなんです。

 

──武笠さんは、今までにお洋服からそうしたエネルギーや念を感じた経験はありますか?

 

武笠:そうですね。それが霊感的なものなのかはわからないですけど、着る洋服によって自分が放つものが変わる感覚はあって。その放っているものが素敵なご縁につながったりすることもよくあるんですよね。お洋服は物質的なものですが、そこに宿っているものをすごく私は信じています。

 姉:エネルギーの流れを見ていて思ったんですが、武笠さんは草木染めなど自然の成分で染められた麻とか綿をまとうと、よりエネルギーをうまく流すことができるタイプだと思いますよ。

 武笠:すごく興味があるんですよ。実際にTTMのお洋服でも使っているんです。

 

 武笠:AHUMは石から蒸留した香りのブランドで、姉さんはブランド立ち上げ前からさまざまな鉱物を選定してきたそうですが、石のエネルギーというものはどう感じていたんですか?

 姉:小さい頃から「いいエネルギーの石だな」と思ったものは、石に「持ち帰ってもいい?」と尋ねて連れて帰ったりしていたんです。エネルギーの形は、石によって、手が火に炙られているような熱さを感じたり、逆に氷に触っているくらい冷たかったり、静電気みたいな細かい振動とバチバチがきたり、本当にさまざまです。そして「この石のエネルギーがあの人には必要」と感じたときに、友人に石を渡したりしていました。そうするとその人の全体的なエネルギー量が元に戻るというか、その人らしさが出てきたり、エネルギーがより強くなることもあるんです。そうした研究のようなことを小さい頃からしていて、その延長線上に、今やっている石のプロジェクトがありますね。

 武笠:少し前に、薄紫とオレンジ色の石を私が持ったら、薄い紫の部分がちょっと白っぽくなって、さらに黒い部分はもっと黒くなる、という体験をしたんです。持ち主に返したら、白くなった部分が元の色に戻って。そこで「石って生きているのかな?」と思ったんですけど、石の色が変わるってどういうことなんでしょうか。

 姉:科学的な話はできないんですが、私たちが普段提供させていただいてる石も、手に入れてくださった方から「色が変わった」という報告がすごく多いんですよ。石の種類にもよるんですけど、人間の念や環境によって濃さが変わったり違う色になるというのは普通にあることですね。

 武笠:それは石自体の色が変わっているんですか? 私たちの見え方が変わるということではなくて?

 姉:石自体の色が変わって、第三者が見ても変わっていることが多いです。ただ、今おっしゃったように、石を持つことによって人体の中のエネルギー量が変わって、見える色が変わるケースもありますね。自分の気や念の状態によって、見える色はどんどん変わっていくものです。

 武笠:例えば、朝起きてすごく良い状態のときって見える空の色が違いますけど、それも同じことでしょうか。

 姉:そうそう、本当にその通り。的を射ていますね。

 武笠:「念」というと「執着」とか重いイメージがあるんですけど、熱い想いだとかそういうものとはまた別なんですか?

 姉:念というのはこの世界で自分自身が練ってきたものなんです。いろんな感情や学び、全てが練られた結晶みたいなものが念。一方「想い」というのは表層的な部分で、念の元となる成分の1つですね。

 武笠:なるほど。ありがとうございます。

 

──ちなみに武笠さんは石の香りを感じたことはありますか?

 

武笠:なかったです。

 姉:ぜひ試してほしいです。ステップが4つあって、石を持って嗅いだとき、単純に砂や土、壁などの匂いに感じるのが第1ステップ。第2ステップになると、嗅いだ瞬間に風の香りがしてくるんですよ。例えば夜の浜辺近くを歩いたときに海が運んでくる風の香りとか、冬の朝に香ってくる冬の匂いのような。さらに第3ステップに行くと、今度はそれらの奥にある、石が持っているエネルギーの香りがしてきます。これは嗅覚というより自分の五感に訴えかけてくるので、見えない景色が見えてきたり、昔の友達の顔が急に浮かんできたりということが起こり始めるんですね。第4ステップでは、それらがどんどん心の奥底に沈んでいく。もはや匂いという表現が適切かわからなくなってくるんですが、自分のコアを刺激するエネルギーが鼻から入ってきて、いつの間にか心がじんわり温かくなったり、急に解放された気持ちになったり、そういった感情が生まれてきます。こういう流れをもっとライフスタイルにうまく溶け込ませたいなと思い、AHUMのプロジェクトを始めたんです。

 武笠:なるほど。私はAHUMの香りを嗅いだとき、瞼の裏と中に染み込んだような色と模様のイメージが湧いて。今回はそれをそのまま絵に落とし込んで、お洋服のテキスタイルにしたんです。私が描いた絵を見て、姉さんはどう感じましたか?

 姉:カラフルなテキスタイルでしたよね。武笠さんの心の中にいろんな気持ちがあって、出していきたいけれどもまだまだできていないという部分があるのかなと思いました。でも何かがブースターになったら一気に出てきそうな感じ。体いっぱいにエネルギーがぐるぐる巡っているんだなということを、あのデザインからすごく感じました。

 武笠:なるほど。何枚か描いてみたんですけど、色は毎回一緒だったんです。その中から特に心地よく感じた柄を選んで商品にしました。でもその時と今ではまたちょっと感じ方が違うなと、今同じ香りを嗅ぎながら思っています。

 姉:以前、お客さまとAHUMを嗅ぎながら絵を描いていただくイベントを行ったんですけど、仕事でヘトヘトに疲れた時に嗅ぎながら描いた絵と、連休前でワクワクした気持ちで描いた絵と、皆さんそれぞれ全然違っていて。自分の状態によって感じる匂いも見える世界も変わるから「これはもう香水という概念に収まらないです」っていう意見はすごくたくさんいただきました。

 武笠:本当にそう。嗅ぐ時間によっても香りが変わります。

 姉:朝一番、夕方、夜寝る前……全部違うとおっしゃる方が多いです。石ってそういうものなんですよ。

武笠:今日は姉さんに、カルマについてもお伺いしたいと思っていたんです。

 姉:最近、カルマという言葉だけが1人歩きしているなと私はすごく感じているんです。私のお客さんにも「私のカルマはどうなっていますか」「魂のカルマからはどう抜け出せますか」とよく聞かれるんですけど、日本語で言うところの「業」とも言えるカルマに支配されて、行動を制限しちゃってる人もけっこういるんですよね。なのでカルマというものからまず解放されて、自分の好きにやったらいいというお話を最近すごくしています。

 武笠:なるほど。

 姉:「結局前世と同じようなことをしてしまうんじゃないか」「今世で自分がクリアすべき課題がわからず、魂が成長しないままなのでは」とかいろいろと考えすぎてしまって、やるべきことをやる勇気が出ない人がたくさんいるんです。時代も変わっているし、「今だったらできるかもしれない。とにかくやってみよう」とお話しすることが多いですね。

 武笠:「これがカルマなのかな?」と思うときがあって。例えば、ここ数日間すごく日差しも強いですし、空のエネルギーが強かったのかな、昨日のお月様にもすごく引っ張られる感じがしたんです。そのタイミングで課題をちゃんと考えて、自己対話をしたんですね。それで「これでいいんだ」って思えたとき、すごく視界が変わった感じがしたんです。これがカルマなのかはわからないけど、自分の課題に違う目線から向き合えたという体験があったので、聞いてみてしまいました。

 姉:武笠さんの場合はカルマというより、満月ごとに自分との対話をするのが非常に合っている方だと思います。新月のほうが合っている方とか、気候変動によって変わる方とかいろいろいるんですけど、武笠さんは典型的な満月型。満月の直前の3日間は自分への気持ちが上がってくるんですね。いろいろ飽和状態だったものが、すっと見えてくる瞬間ができる。そこをうまく利用しながら、満月ごとにステップアップしていくのがすごくいいと思います。

 武笠:ありがとうございます。ちなみにシンクロとか、テレパシーのようなものについてもお伺いしていいですか? 例えばふと久しぶりに脳裏に浮かんだ人と次の日に道でばったり会ったり、気になっていたことが実際に起こるということが前々からあって。そういうシンクロはなぜ起こるのかな?と。

 姉:武笠さんは、お客さんが全くいないお店に自分が入ったら、その後何人もお客さんが入ってきた、という経験はありますか?

 武笠:うん、あるかも。

 姉:だとしたら、シンクロというより引き寄せ体質なんだと思います。いわゆる霊感の一種ですね。自分がこうしたいと思っていたら急にその話題が降ってきたり、必要としている人から連絡があったり。自分が思っていた方向にどんどん物事を引き寄せる力が強い。

 武笠:それはすごく感じます。

 姉:クリエイターさんはそういう方が非常に多いんですよ。今後もっとそれを意識するとどんどん引き寄せが強くなるので、楽しんでほしいですね。

 武笠:わかりました。楽しんでみます。

  

  

──ここからは、コラボのノベルティに使う石を実際に選んでいきましょう。9種類がずらりと武笠さんのお手元に届いています。

 

姉:武笠さんをイメージしながらピックアップしました。雑念を飛ばして、その中から感覚的にポンポンと選んでください。

 武笠:はい! まずカーネリアンを持ってみました。……なんだか首のあたりが苦しい感じがします。

 姉:ではそれは合わないので離しましょう。マダガスカルの石は、合わない人、けっこういるんですよね。

 武笠:気になるものをピックアップしていこうと思うんですが、選ぶポイントって何かありますか?

 姉:本来はもっとゆったりリラックスしながら、何時間もかけてやるんですよ。しかもこんなに大勢が見ている中だとやりづらいですよね(笑)。

 武笠:このルビーインフックサイトも、重めな感じがします。デザインはすごく好きだけど、勇気がないとちょっと持てない感じです。

 姉:そうですね、覚悟が必要かも。どちらかというと武笠さんがすごく疲れていたり、自分の内面を深掘りするときに持つといい石ですね。

 武笠:ちなみに私が持っているとき、姉さんには石と私の相性が見えているんですか?

 姉:そうです。今の武笠さんに合う状態かどうかが視えますね。最高に落ち込んだ日はルビーインフックサイトを急に欲しちゃったりするんですよね。または、自分がこれから何かに取り組もうとワクワクしているときには、さっき合わなかったカーネリアンが必要になったり。そうやって自分のコンディションによって相性が変わるのも石の面白さです。

 武笠:うーん……難しいなあ(笑)。これは大丈夫な気がします。アポフィライト。

 姉:あ、やっぱり! 今日武笠さんに一番いいと思っていたのはアポフィライトだったんです。日常でも、総合的にアポフィライトが合いそう。あと1つ選ぶとすれば、ソーダライトですね。

 武笠:なるほど。レピドライトもけっこう良さそうです。ブルーアパタイトは苦手かも。でもこの場で決定するのはやっぱり難しいですね。あとでゆっくり感じてみて、選ぼうと思います。

 姉:うん、それでいいと思いますよ。だいたいわかっていただけた気がしますが、石の匂い、熱、あと手で握ったときに手の内側から脈を通じて入ってくるエネルギーを感じてみてください。あとは眉間の“第3の目”の部分に石を近づけて、くすぐったくなったり熱く感じたりしないか。そういう試し方もあります。

 武笠:デザインだけだったらすぐ選べますけど、難しいですね。落ち着いたときに時間をかけて決めようと思います。

 

 武笠:最後に、鉱物がなぜこうしたエネルギーを持っているのかを聞いてもいいですか?

 姉:鉱物ができる過程を調べれば調べるほど、いろんなエネルギーが関わってるんです。高温のマグマや、海の圧によって何年も凝縮されてきたエネルギー……数億年前の木の樹液や、微生物などの生命体が石になっているものもありますよね。そんなふうに何百年も何千年も凝縮されてきているから、鉱物にはエネルギーがたくさん入っているんだと思います。

 武笠:なるほど。ありがとうございます。そんな石をAHUMで蒸留しているのが、調香師の沙里さん。次回は沙里さんと対談させていただくので、とても楽しみです。

 姉:沙里さんが調香した香りを初めて嗅いだ瞬間、「この人、普通に匂いだけを調香している人じゃないな」と思いました。匂いの背景にあるものも確認しながら、感覚で選んでいる。その感覚には直感や霊感も入っていると感じて、「この人なら私の視えている世界や考えをわかってくれるかも」と。それで実際にお会いしたらとても価値観が合って、意気投合しましたね。

 武笠:すごく素敵な出会いですね。

 姉:沙里さん自身が山に入って、香りの原料を集めてくるんです。その1つひとつに「あなたを今原料にしてもいいかな?」と尋ねて持ち帰ってくる。量産型の香水とは全く違う世界ですよね。すごく面白い方なので、武笠さんとどんなお話をされるのか、すごく楽しみにしています。

 

聞き手 岸野 恵加

一部写真提供:URAOTO