呼吸対談
瞑想家 佐々木依里 <後編>

2024.06.21
<br>呼吸対談<br>瞑想家 佐々木依里 <後編>

SENSE14「BREATHING」


呼吸から自分自身や世界との繋がりを感じるTHINGS THAT MATTERディレクター武笠綾子と瞑想家佐々木依里との呼吸対談。呼吸への興味から、植物や動物との関係、未知なる肺への感謝へ。


依里: 少し前に風邪をひいて。やっぱり呼吸がすごい苦しくなったり鼻が詰まったりとかするんですね。そのときに、やっぱり人間ってすごい生命の危機を感じる。呼吸が滞るってことは命の危険だからすごい体調もメンタルも悪くなるし、本当に簡単に酸素濃度がちょっと下がるだけで思考が弱まっちゃうからメンタルが下がるんですよ。ネガティブな考えが浮かびやすくなるし、私も鼻詰まりなだけで頭痛がしたり…。

武笠: 私ちょっと前にコロナになったんですけど、そのときは逆に呼吸してなかったからコロナになったんじゃないかな、って。メンタルも弱まって、呼吸を忘れたから免疫が下がって風邪をひいたんじゃないかなって思っているんです。

依里: 呼吸をしてほしいから止まったりもするし、その日常生活はあえて止めて、体を休めなさいって言ったりもする。だからもう複合的なメッセージですね。でも本当に一番は、呼吸をしてほしい。武笠さんもSENSE14のメッセージにも書いていましたよね。

武笠: そうですね。


依里: 私、今回のその呼吸の洋服のテーマで色とか、シアーの感じとか、そういうテーマがあったと思うんですけど。例えばオレンジだったりグリーンだったり、光。そういうインスピレーションってどこから来ているんですか。どういうときに受け取ったりしてるんだろう?

武笠: 色って私の中で重要なんですけど。でも、どこから来てるんだろう…。

依里: 見えないものが、洋服や形になる流れが気になります。

武笠: でも見えてないです。目で見たわけじゃないです。目で見たわけじゃなくて、私なりに呼吸をしてみて、感じるんです。何となくなんですけど目瞑ると2パターンあって。身体の前側にキャンバスできて、頭のあたりで見えるバージョンと、胸よりちょっと下あたりにあって。何かそこで、キャッチした色なのか。日々見たものがそこに蓄積されていって、ということなのか純粋にその呼吸をして出てきた色なのか分からないけど、そこにワーッとある感じがします。今回この色使いたいなっていうのをこの辺にある色を合わせてやっているような感じはある。まぶたの裏ということでもなく。

依里: どちらかというと頭の上あたりに浮かぶイメージってことかな。それは武笠さんが体験を通していたりとか、またはイメージを通して、何か感じとれるものっていう雰囲気なのかな。

武笠: そういう雰囲気かもしれないです。言葉にすると。

依里: それを手繰り寄せてって自分の感覚にどんどん近づけていって形とかって今色のイメージだとしたら今度形のイメージがあるじゃないですか

武笠: そうですね。

依里: その形のイメージにはどうやって落とし込むんですか。

武笠: 素材ですね。透明感とか、光沢感とか、色と素材をぺたぺた貼ってみて、一旦視覚化しますかね。それを形に落とし込んでいく。感じですかね。

依里: 不思議な感覚だったのは、このお話をいただいたときにもう既にデザインは出来上がっていて。そのイメージをもらったときに確かにこれ呼吸だ!ていうふうに思えたんだよね。

武笠: よかった。

依里: 洋服を見ているはずなのに、確かにこれは呼吸だな、こういう呼吸はあるなとか武笠さんの呼吸はこういう感じなんだとか。私はもうちょっと透明で無色だったりするけれども、武笠さんはもうちょっと春めいて明るかったり、とても気持ち良い感覚でいっぱい呼吸をしているんだなっていうのが浮かんで、すごく面白かったです。

武笠: 嬉しいです。


※SENSE14 KAKERA MOVIE「BREATHING」/佐々木依里

依里: 今回、SENSE14の呼吸のカケラ動画を制作したんですが。

武笠: ありがとうございます。

依里: その動画も、武笠さんの呼吸のイメージを受け取って、私の呼吸ではなくて、武笠さんの呼吸をこういう感じなんだなと思って、色合いを作りました。実は私、去年横隔膜に穴が開いて、肺の手術をしたんですよ。こんな呼吸呼吸って言っていて。笑
横隔膜を一部切除して肺がしぼんで。肺がしぼむっていう経験もしていて、こんなに肺に向き合ったことはないぐらい1年間でした。実際にあの動画を制作しているぐらいのときにMRIとかも撮ったりして。肺の動きをずっと見てたんですよ。
しぼんだ瞬間は背中が痛くて苦しいって感じなんですけど、1分間ぐらい自分の独自の呼吸法をしていたら、すぐに治って。たまたま胸部のレントゲンを撮るまでは全然気づかなくて、右肺がしぼんでたんですけど左肺がいっぱいにちゃんと膨らんでいるから、左肺だけでも全然十分生きていけてた。呼吸法とか、日々の自分の生活で気をつけたりとかするだけで、リカバリーできちゃうし、なんなら手術しなかったとしても、後々にふさがるんですよ。

武笠: そうなんだ。

依里: そう。だから、1ヶ月とか2ヶ月そのままだとしても自然治癒する臓器っていうふうに言われていて。
なんかもう本当に未知の臓器で、私達はそんな未知の臓器を抱えながら、こんなに命を委ねているっていう本当にすごい生物だな。そして普段1ミリも感謝してないっていうね。

武笠: そうだね。肺に感謝してなかったですね…。

依里: そう、だから思い出せるように動画ではしっかり肺を描いています。私達の肺、未知なる臓器はこんなに毎秒毎秒欠かさず動いている臓器なんだよってことに感謝できるように。カケラの動画で肺に意識を向けて呼吸ができたら良いなと思っています。

 

※カケラとは、お洋服が手元に届くまでの時間もお楽しみいただきたいという想いから、コレクションごとに製作のインスピレーション源となった「感覚のカケラ」というギフトをお届けしています。SENSE14 BREATHINGの商品を公式WEBサイトでご購入頂いた方には、カケラとして佐々木依里さんが手掛けた映像をご覧いただけます。

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