呼吸対談
瞑想家 佐々木依里 <前編>

2024.06.14
<br>呼吸対談<br>瞑想家 佐々木依里 <前編>

SENSE14「BREATHING」

呼吸から自分自身や世界との繋がりを感じるTHINGS THAT MATTERディレクター武笠綾子と「瞑想家」でアーティストの佐々木依里との呼吸対談。呼吸への興味から、植物や動物との関係、未知なる肺への感謝へ。

武笠: 生きていてつい忙しくなったりすると、呼吸を忘れてしまうことがあって。季節の変わり目なんかもそうなんですけど、感じられなくなるタイミングってありますよね。今回は依里さんと呼吸についてお話しをしたいです。

依里: はい。瞑想とかは、呼吸が入口で。心へアクセスするのも全部呼吸がスタート。まずは、呼吸に意識を向けてから自分の内側とか心とか内面に入っていくから、そもそも呼吸に気付けてない人は心にもアクセスできないし、自分の内面すら見えない。自分の内面が見えないってことは、それよりもっと深い宇宙とか、それよりもっと深い世界にもアクセスできない。呼吸っていうのは、本当に入口の入口だけど、とても大切なことって瞑想では言われています。誰にも習ってないのに生まれてから死ぬまで呼吸はずっと続いている。赤ちゃんが最初に生まれてきた瞬間に命を確認するのってやっぱ呼吸だし、死ぬじゃなくて最後の瞬間も息を引き取るっていうけど、そういう言葉にも使われるぐらい、呼吸とか息ってすごく大事なもの。だから、この地球との接点でもあるし、自分の心との接点でもあるっていうのですごく大切なものとして私は捉えています。

武笠: 最近、呼吸ができてなかったんです。確かに、呼吸ができてないときって、自分のことが疎かになっているときだなと。だから、日々ちゃんと1日の終わりでも始まりでも、呼吸を意識できる時間を持てたらなと思っているんですが、依里さんはいつ呼吸を意識していますか。

依里: みんながびっくりするかもしれないんですけど。もう常に呼吸を考えていて。お茶碗洗っていてもトイレに入っていても、道を歩いていても。この呼吸はもう一生帰ってこないとか、考えています。
あとは自分の感情の動き方。呼吸が浅くなって深くないときは緊張していたりとか、感情が高まりすぎちゃってたりもするから。呼吸によって、自分の感情にも気づけるし、感情に気づけるっていうことは自分の意識がどう揺らいでるのか気づける。瞑想とか呼吸ってただ座っているときに練習するものではなくて、1日の中でどういうふうに呼吸と心が動いているかを見た方が、自分っていうものを捉えやすいな、と感じますね。

武笠: 例えば何か不安に思うこととか、ネガティブなことが起きたときは、入れ物がぺしゃんこになった感覚がして喉を通らないっていうのは自覚しますね。逆に、余裕があって気候や自然を感じたりできるときは、勝手なイメージですけど前から後ろを回って、何かが巡っているような感覚があります。

依里: 呼吸が速くなっても浅くなっても全然いいのだけど、むしろその通っている感覚とか巡っている感覚があれば、そこに戻ればいいだけだから私も速くなったり浅くなったりめちゃくちゃする。人を嫌いになりそうになったりとか憎んだりとかしたいじゃん、人間だからそれは。そのときにふと落ち着いて1日たってもいいし、何時間かかってもいいから、その巡っている感覚、ゆっくりした感覚に戻ってこられるようにしているかな。速くなったり浅くなったりするのと巡らなくなったりするのが全然悪いことだと思わないけど、自分のリラックスとか自分の巡っている感覚を知らないことの方が辛い事だと思う。


武笠: 息を吸うときってもう気持ちよく吸えるじゃないですか。吐くときって何か意識していることありますか。例えば、自分の中の何かを吐いているイメージとか、自分のものを何か…。

依里: いい質問だね。よく浄化でいらないものは手放しましょうと言われることが多いのだけど、私が学んできた方法や地球との調和で考えると、私達も地球の一部で地球がいらないものなんて私達が持っているわけなくて。ネガティブな感情とか私達にとっては吐き出したい想いとかゴミって考えたような感情とかいらない不要物不純物だったとしても、地球にとってはそれが栄養だったりむしろ贈り物だったりとか、何か必要なエネルギーなのかもしれない。
武笠: なるほど、腐葉土と一緒ですね?

依里: そうそう。それを循環させることの方が大事。だから、もう早く手放したいとか、こんな感情いらないって思うよりかは、私から出すことによって誰かの役に立つかもしれないと思って。そっちの方が全然良いし、そんな気持ちで出すようにしているかな。

武笠: なるほどね。要らないものを出すみたいなのはありますよね。そう言えば、神社に行って、手を合わせる時に、光を戻すイメージをするといいって聞いて。人が放っている光を栄養分としているから、光を戻す感じがいいって聞いたことあって、結構しっくりくるんですけど。ゴミというよりも、またそれも何か好循環するみたいなイメージでいた方が良いですかね。

依里: うん。私も本当そう思う。良いも悪いもないから、ただのエネルギー、大きさ、振れ幅として考えたら、例えば強く、ネガティブな重い感情だったとしても、それは強くて大きな振れ幅って思うと、そういう振れ幅が必要なときもあるよね。すごく大きなものを動かさなきゃいけない時とか。そういう時にはそういう大きなエネルギーが必要だから、それを求めている人はいるだろうっていう考え方がプラスもマイナスもなくて、ただの大きなエネルギーとしてお返しすればいいんじゃないかな。だから、吐く息でネガティブな感情とかもない。吐く息で大きくこの感情をふーーーと地球にお戻しする。

武笠: 呼吸で巡っていくんだな。


武笠: 太陽にあたったりするのが好きなので、そういうときに呼吸しているときはすごい幸せな気持ちになるんです。この間、海でシュノーケルをして。呼吸の音が聞こえるじゃないですか。あれが、すごく気持ちがよくて、1人だけ見える世界で自分1人だけじゃないですか。ブクブクって聞こえて、あの感覚はどこに居るのか分からない感覚でしたね。

依里: 私も、結構潜ったりするので、その呼吸の音は本当にいいですよね。

武笠: 絶対呼吸しないと死んじゃう場所だから余計感じるのかも。

依里: あれを息止めて本当に潜ったりすると、次に聞こえてくるのが心臓の音になる。自分の逆の音。それもすごく感動で。

武笠: それちょっと体験したことない!

依里: ぜひお風呂で潜ってみて。ドクンドクンになるので。

武笠: へえ。心臓の音になるんだ。

依里: やっぱり心臓の音、呼吸が止まるってことは心臓もゆっくりにした方が、酸素セーブできるんです。酸素を使う量を減らすことができるから本当にいい状態で潜れていると心拍もゆっくりになる。シロナガスクジラとかは、何十分も潜る。
私たちは心臓と肺があって、酸素と二酸化炭素のやり取りをしていて。シロナガスクジラとか同じ哺乳類の動物たちも同じように心臓と肺を使って、大きな命を燃やしていて。片やネズミとか小さな命たちはもっともっと早い1分間に何百回っていう速いペースでみんな命を燃やしている。全員同じシステムを使って、というのが私の中では、この地球の神秘に覚える。
呼吸で言うと、私達は1回も酸素をくださいって、植物にお願いしてないのに、植物はこの地球から二酸化炭素を吸って酸素を作り出すっていう事をシステム上構築してくれていたから、やっと私達動物が「この酸素を使って、生きよう。」みたいな生物が誕生できたわけで。それもすごい奇跡。植物がいなかったら動物なんて絶対生まれてないし、動物と植物が今バランスよくいるから私達は「酸素がないやばい!」とかならずに生きてこられているから。
酸素をくださいとか言ってなくて、1回も。でもそうじゃないけど、与えることとか循環することで当たり前のように、暮らしているっていうことが呼吸を通してだんだん見えてくる感覚がして、私は、呼吸…ありがとう!という気持ちになっちゃうんだよね.
植物の前で呼吸しているだけで、私たち何もお願いしていないのにバランスで一緒にいるのが、すごくハッピーな気持ちになっちゃう。人間同士だと、お願いすることの方が多いじゃないですかね。それが、動物と植物と地球上のバランスで考えると全くない。当たり前のように生かされている。いつの間にかあるから、いつも気づかないけどちゃんとベースに流れていている。その一つが呼吸なんだよな。

 

 <後編に続く>

 

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