2022年 占星術による考察
by 淡の間
ギリシャ神話に登場する神「ディオニュソス」をご存知でしょうか。
又の名を「バッカス」といい、オリュンポス12神の中で唯一人間を母に持つ。葡萄を栽培し、またそれを醸造して葡萄酒を作る術を持ち、それを振る舞って民衆を労働の辛さから解放させたことで大変な支持を得たといいます。そのため、快楽、陶酔、狂乱の象徴とも謳われています。
天体に例えるならば「ディオニュソス的なもの」は、イマジネーション・情動性・解放を表す海王星、そして救済・正義・発展・拡大を表す木星の管轄ですが、12星座の中で木星と海王星の両方を支配星に持つのは魚座です。かつてキリスト教徒が、魚(イクトゥス)をキリスト教の隠れシンボルとして用いたことからも、魚座は献身と救済の象徴と見なされています。
占星術で年間の考察をするときに注視するのは「社会天体(特に木星、土星外惑星)」と呼ばれる地球から少し離れた惑星の運行状況を読むことですが、来年2022年は拡大と発展をもたらす木星が魚座と牡羊座に滞在します。先ほどもお伝えしたように、木星は魚座の支配星ですのでいわばホーム(実家)のようなポジションに配置されるということです。
また、課題と修行・カルマを示す土星は2020年12月から水瓶座に滞在しています。ちなみにもう一つの魚座の支配星である海王星も、2012年から魚座の位置にありますが、2022年は海王星と木星の二大支配星が魚座の元で重なり、その作用として「幸福・拡大・発展 × 混沌・浄化・救済」の影響がもっとも広がる時期といえるでしょう。
つまりは、かねてより続く各々の問題に対する救済。そして、2012年から始まった魚座海王星期の締めくくりである2025年に向けて、“運命の浄化という通過儀礼”を体験し、新しい世界への扉が開く年。それが2022年です。
魚座は、12個の星座という「個我」がバトンを回しながら成長していく過程の終着点であり、これまでの自分を全て受け入れ、また新しく出発する前の準備段階ともいえる地点です。
魚座という精神の学びの終着点へコマを進め、また牡羊座という新たな出発点へともう一度飛び込んでいく流れは、さながら胎児が母体からようやく外の世界に出てくるようなイメージ。
その過程の中で生じる「これまでの自分の全てを受け入れる」という課題に対峙し、葛藤せざるをえないこともあるかもしれません。いいことも悪いことも、自分の内側を浄化するようにあえて表面化させ、自分の中にある陰と陽が混ざり合うように統合していく。そして、生きながらにして生まれ変わるような体験をする……。それが2022年の天体たちの重なりが示唆することではないかと思います。
魚座の木星と海王星が持つ浄化・救済作用によって「見えなかったもの・隠れていたものが明るみになっていく」という流れは、個人レベルだけでなく、社会にも大きな影響を与えます。誰にとっても、これまでの人生の道のりは決して平坦ではなかったはず。少々後ろめたい経験から、密かに罪悪感を感じることもあったでしょう。光と闇、愛と憎悪はいつでも紙一重です。
2022年に起こるのは「どんな自分でも丸ごと受け入れ、抱きしめられるような解放体験」。人生を変える出来事、そして再出発に繋がる出来事。
木星の拡大・発展作用が今までにないほど、これでもかと発揮される理由は、次なる課題に取り組む出発点である牡羊座へとバトンを渡す前に「全てを出し切る」必要があるからです。全てを出し切ってこそ、それまで囚われていた枠組みから解放され、本当の意味で自分を受け入れることができるのではないでしょうか。
人によっては、少々絶望的ともいえる状況に見舞われることもあるでしょう。これまでひた隠しにしていたことや、受け入れがたいことをオープンにしていくなんて、口で言うのはあまりにも簡単かもしれません。ですが、ようやく腹を決めて踏み出さなければならないきっかけが訪れるかもしれません。2021年から2022年にかけて届く心を揺るがすようなお知らせは、痛みを通して心の視野を広げることで新しい世界へとあなたを誘う招待状のようなもの。これらの出来事を通し、全ては陰と陽の両面によって成り立っていることを身をもって体験することになるでしょう。人によっては今まで消化しきれなかったことをようやく受け入れることができ、過去の自分自身が救われるという体験があるかもしれません。特に2009~2010年、2012年、2019年からの伏線が回収がされ、ようやく腑に落ちるなんてことも。
2022年5月11日から10月28日までは一時的に木星が牡羊座へ移動し、一時的に「2023年の先行シュミレーション期」へ。ずっと見送りにしていたことが実現したり過去の自分を再度鼓舞するような出来事に出くわすなど、さながら雲の晴れ間が広がるような前向きでアクティブな時期となりそうです。
「見えなかったものが明るみになっていく」とき、解決策になるのは、木星の力をよりサポートしてくれる水星の性質を生かすこと。12星座を支配する天体の基本配置を見ると、木星(拡大)/海王星(混沌)の向こう側には必ず水星(分析・整理)の存在があります。
※星座(支配星)
射手座(木星)ー双子座(水星)
魚座(海王星/木星)ー乙女座(水星)
このように。
木星や海王星による壮大なビジョンを具体的に実行する力添えをしてくれる水星の力を借りて、漠然としたイメージに対して「合理的な分析」を行い「モヤモヤしていたことを整理し、クリアに見えるようにする」ことをお勧めします。
あるいは「見えないものが(海王星)拡大・発展していく(木星)」という作用で見れば、まだまだかの感染症が猛威を奮っており、当面は振り回されそうだと予測することもできます。2021年5月から7月に、一時的に魚座に木星が入室していたときの状況を思い返せばその影響も分かりやすいかもしれません。
一方で、天体の影響をまた別の視点から見れば「癒し・救済」という側面によって人類を脅かす他の原因への、具体的な対策法が発見されることも予想されます。その驚異的ともいえる拡散力から思わぬ形で「日の目を浴びる」ようなことを体験する人も。
【2022年にオススメのアクション】
・まるで開かずの間のように、ずっと溜め込んでいた持ちものや書類を、整理整頓する。
・面倒くささから手をつけられていなかったことに着手する。
・ずっと後ろめたくて誰にも言えなかったことや、自分の秘密と向き合ってみる。
・罪悪感を感じることほど、自分にとっての正解が隠れているので、勇気を出して掘り下げてみる。
・思い切った決断は2月半ば〜4月末までに。もしくは、8月もオススメ。
・イメージの具現化のために、ジャーナリングを行い、具体的にノートに書き出す。なんの制限もなく、自分の思考を一旦全部吐き出してから具体的に整理していくことがポイント。
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2020年12月から入室した水瓶座の土星と魚座の木星の影響を鑑みた現状の天体配置は、1960年代前半から始まった世界の状況と近い構図をしています。当時の社会を振り返ると、キューバ危機からのベトナム戦争開始、カウンターカルチャーの盛り上がり、生物学者レイチェル・カーソンが『沈黙の春』を出版して訴えかけた環境問題への警鐘、公民権運動やウーマンリブなど、戦後社会への反発による政治運動や文化が盛んとなり、「誰も疎外しない、より包括性を重んじる社会」へと、市民の意識が変容していくさまが窺えた時期でもありました。
では、先人たちが作り出したムーブメントを経て現代に生きる私たちは、当時から一体どれほど進歩したのか。似た傾向が見えるとはいえ、約60年を経て、人類の意識は成長したといえるでしょうか。
2019年冬に発生した新型ウイルスの爆発的な流行により、多くの人々はいわば「空白の時間」を過ごしました。インターネットの活用によりコミュニティがさらに広がったり、働き方が状況に応じて変化するなど、形骸化したシステムや体制の見直しが行われたのはもちろん素晴らしいこと。ですが、現状表面化している変化や問題はまだまだ氷山の一角に過ぎないでしょう。同時にこれまでなかなか表に出てこなかったような社会問題が炙り出されるように顕在化するなど、社会の明暗がはっきりと分かれつつある時期ともいえるのです。
またあるところでは、初めは珍しさから注目を浴び、次第に大衆へと受け入れられていくブームが生まれるなど新たな文化の歴史が始まる時期とも捉えることができます。
例えば、これまで身近な問題でありながらもなかなか人に話せなかったこと。女性の性的な欲求を満たすフェムテックグッズ、性との向き合い方、お金の運用、そしてスピリチュアルな概念といった、 “ちょっと珍しかったりオープンに出来ないようなこと“ が、“誰にとっても当たり前のこと “と捉えられ、一層大衆化していきそうです。
ここで冒頭のディオニュソスの話に戻ります。オリュンポス12神にまで上り詰めた彼でも、「人間を母に持つ」というタブーな出自から、他の神々から大層迫害され忌み嫌われていたそうです。しかし、何を言われようとも与えられた務めとその厳しい運命に対して彼なりに努めていったことで着実に民衆からの支持を得ていきました。
なぜこの話をしたかというと「みんなに好かれるため」という目的で自分に負荷をかける必要は今後不要だと伝えたかったからです。変に自己犠牲的になることもなければ、自分から輪を乱しにいくことを勧めているわけでもありません。あくまで自分に対する誠実さが大切ということ。ディオニュソスを例に挙げましたが、たとえ周囲から疎まれようとも自分への誠実さを守りながら嘘のない自己表現をしていくことで、何者よりも大切な自分自身との信頼を築くという大きな財産を得ることができるはずだからです。
人はタブー(裏の顔、状況)を受け入れて初めて、本当の意味で自分を愛することができるのではないでしょうか。そのために、まずは何よりも自己を解放し、自分で自分の一番の味方になることです。
頭では分かっていてもなかなか難しいテーマ「自分を丸ごと愛すること」。
それができた人から飛び込んでいけるという、ゆるやかで解放的な世界に行きたいと思いませんか?
「行きたい!」とあなたが願うならば、必ずその扉は目の前で開きます。
光と陰の量は必ず同等であると思います。光が強いほど陰も多いのです。
一度自分の陰にとことん向き合うような体験があるからこそ、人は魅力を増すのだと思います。
「私はどこへでも行ける どんなことでも叶えられる」
2022年、光に共鳴するように導かれる出来事に向けて開放感いっぱいに心の領域を広げ、ますます素晴らしい世界になっていくことを心から祈っています。
淡の間
2021年12月
編集:川口ミリ
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