SENSE
05_
Yin & Yang
SENSE 05_Yin & Yang
この世で一番初めに生まれた熱を覚えているか。闇の中から生まれた光を覚えているか。光と闇のあわいで混ざり合う内に、内側にあった世界がいつしか外側へと顕れた。その時、あまりにも眩しくて、私はそれぞれの方へと手を離した。
-あの日、君の瞳の奥に私を見た。生まれた時の熱と光を頼りに辿り着いたとすぐに分かった。共時性。偶像と逢引。異国の風景の既視感。フラッシュバック。ずっと待ちわびていた、この時を。
夢の中の君はいつも同じ顔をしている。私と同じ形をした手を象る。声にならない声を聞くために耳を傾けていると、底から叫ぶような音がして目が醒めた。終わらない夢だと言われた方がまだ良いだろう。残念ながら夢ではなく、生まれる前からずっと続いている、ただの片割れの話なのだ。