SENSE
06_
meditative...
SENSE 06_meditative...
きれいだね、ときみが言う。
“それ” が、わたしのことを指しているのではない、というのはすぐにわかった。
ねえ、わたしにも美しいものが見える。
同じものを見ているよね。
前にもいっしょに “それ” を見たことがあったね。
鳩尾から込み上げてくる確信がある。
いったい “それ” がなんなのかもわからないまま、
言葉にもできないまま、
ただ、きれいだね、と返す。
“それ” は不意に訪れる安らぎ。
何もかも投げ打って、ただ叫び出したくなる。
眩しい光を胸いっぱい飲み込んだみたいに心臓が震える。
わたしたちの子ども時代かもしれない。
あるいは生まれる前に見た宇宙の色、逆巻く情の色かもしれない。
まどろんで揺らいで、破裂して明滅する、
わたしたちは “それ” をくり返し、
喜びを知りながら生きていく。
繰り返しながら生きていく。