Quantum(クァンタム)は本来、量子という意味を持つ言葉。量子力学には、観測される前の状態を複数の可能性が重なった状態として記述する”重ね合わせ”という考え方があります。これについて有名なのはシュレディンガーの猫の説ですが「実際に観測するまでは結果が決まっていないどころか、すべての可能性がブレンドされた状態で物理的に存在している」ということを示します。
これを私たちの人生の選択肢という視点で説明してみると、未来は最初から一本に決められているのではなく、無数の可能性を持つ分岐に分かれており、選択によって未来の結果が変わる、いわば無数のパラレルが枝分かれしているような状態。だとすれば、私たちはその無数の選択肢の中からどのように生きていけば良いのでしょうか。
ここに思考の力が関係してきます。これは「強く思えばその通りになる」という単純な話ではありません。思考の力とは、現実そのものを魔法のように書き換える力というより、無数にある可能性の中から、何を認識し、何を選択するかを変える力です。人間の脳は世界に存在するすべての情報を同時に認識することはできないので、その時の自分にとって最も重要だと思っているものを拾います。これがポジティブな考えよりもネガティブな考えの方を強く認識しやすいのが時に厄介です。
「どうせ私は愛されない」と思っている人は、相手の愛情よりも返信が遅かったことや、声のトーンが少し違ったことに敏感になってしまい、後ろ向きな思考が強くなって本来は望んでいない悲観的な現実の選択をしてしまう。幸せになりたいのに、幸せになれない思考の力に支配され、その想いの強さが重ね合わされてしまうというわけです。
反対に「どんな時も私は大切にされていい」と普段から強く、何も違うことなくポジティブに思っている人は、大切に扱われない状況に違和感を持ち、その時の自分にとって最も前向きな思考が現実化されるようになる。
物事を表から見るか、裏から見るか。どちらに進むか。同じ世界にいても見つける情報が変わる。見つける情報が変われば解釈が変わる。解釈が変われば、選択が変わる。選択が変われば、行動が変わる。そして行動が変われば、当然、その先にある結果も変わっていきます。ここに、思考と運命の分岐の関係があります。
思考は、願いを宇宙へ注文するものではなく、無数のパラレルの中から自分がどの未来へ向かうのかを調整する羅針盤のようなもの。未来を直接つくるというより、どの未来へ向かう分岐を見つけやすくするかに影響していて、この積み重ねが現実化への道筋です。未来にはいくつもの結果のレイヤーがあります。何もしなかった場合。勇気を出した場合。執着した場合。手放した場合。自分を疑い続けた場合。自分の可能性を信じて行動した場合。それぞれの選択の先にはそれぞれ違う結果があり、どの結果も可能性としては等しく与えられているものです。
「引き寄せ」とは、遠くにある未来を念力でこちらへ引っぱってくることではなく、むしろ逆で自分の思考と行動を理想の結果へ近づけていくこと。例えば幸せなパートナーシップを望んでいるなら、幸せになった自分を一日中イメージすることより、その未来にいる自分ならどんな相手を選ぶのか。どんな扱いを許さないのか。何を素直に伝えるのか。どんな関係から離れた方が良いのかという、結果に伴う無数の選択肢を自分の行動によって変えていくこと。
思考が変わると、選択基準が変わり、選ぶ方向も変わり、その結果としてこれまでとは違うパラレルへ進み始めます。ここに量子レベルの思考の力、いわばクァンタムが関わっているというわけです。
話は変わりますが、タロットカードによるリーディングはその仕組みを目で見ることができる道具なのかもしれません。カードを引くとときどき自分でも認識していなかった恐怖や期待が、驚くほど露骨に現れることがあります。「彼とうまくいきますか」と聞いているのに、カードの中には相手よりも自分自身の不安ばかりが出ている。「仕事は成功しますか」と聞いているのに、実は成功よりも失敗しないことばかり考えていたと気づく。
そして、そのことに気づいた瞬間、新しい分岐が生まれ、未来が変わります。
思考は浮かんだ瞬間に現実になるわけではありません。不安になったからと言ってすぐに不幸を引き寄せるわけでもない。思考の力とはそんな罰ゲームのようなものではなく、むしろどの思考を「自分の真実」として採用し、その思考からどんな選択を繰り返しているかが気がつけるかどうかが重要だと思います。これはなにも、四六時中ポジティブでいなさいということではなく、自分の思考を観測しながら「私はいま、何を前提に世界を見ている?」「その前提から、どんな選択をしている?」「その選択の先には、どんな結果のレイヤーがある?」と思考を俯瞰しながら問い直すことです。そして、行きたい未来があるならその未来にいる自分の思考を少しだけ先取りして然るべき行動を起こすこと。思考の変化によって、選択が変わり、次の分岐が変わる。次の分岐が変われば、その先に現れる現実も変わっていくからです。
タロットカードによるリーディングはその羅針盤が今どちらを向いているのかを確認する装置。そしてその現実化の状態を作る、一粒一粒が、無数のクァンタム。未来は思考し、観測し、選択し、行動した先にあるもの。そのたびに運命は分岐し、私たちは無数の可能性の中からひとつの現実を経験していくこと。その仕組みが分かれば、引き寄せもとい、理想の未来のためにクァンタムを自在に操ることはそんなに難しいことではありません。