A to Z COLUMN   by aynoma 


N 「 NEUTRAL 



THINGS THAT MATTERのライティング・パートナーである淡の間(あわいのま)が、ブランドの世界観との親和性を構築するキーワードをAからZまで毎月ひとつずつ紐解くコラム。

今月のテーマは、N 「 NEUTRAL 」。



今年も夏至を迎えました。太陽は一番輝きを増した後、少しづつ光量を落とすように先の季節に向けて傾き続けます。

ニュートラル。直訳すると中庸。自分なりのちょうどよさ。偏らないバランス。

陰と陽のエネルギーのあわいで私たちはいつも揺れています。

ニュートラルでありたいと思うことと、実際にニュートラルでいることのあいだには、とても大きな隔たりがあります。鑑定の現場にいると、現実世界を生きる人間の多くは、とても極端な思考を持っていると感じます。

例えば、好きか嫌いか。良いか悪いか。正しいか間違いか。続けるか終わらせるか。結果がどうなるか、今すぐどうにかするにはどうしたらいいか、などなど、曖昧な場所に留まることに不安を感じてしまい、白黒つけることで安心しようとします。確かに、実際に答えが出ない時間や不確かな過程、名前のつかない感情を体験している渦中は想像以上にストレスになります。悩みの根源は「分かりたい」という願望です。

どんなことでも、曖昧な状態でいるよりは、はっきりと結論づけられた方が楽なのかもしれません。しかし、現実はそんなに単純ではありません。誰かにとっての当たり前が他の誰かにとっての常識とは限らないし、人の気持ちは好きと嫌いの間を何度も行き来するし、人生の選択にも絶対的な正解と不正解はありません。昨今のタイムパフォーマンス主義や時短と呼ばれる傾向にも極端な結果を求めたい意識が現れています。しかし、目の前の不安に耐えられず、世界を白と黒に塗り分けようとしてしまう。その気持ちはよく分かります。

それにも関わらず、スピリチュアルな文脈における自己統合的な目的だとか、多様性とか呼ばれる理想はとても曖昧なイメージをまとっているものだから、なんとも言えない矛盾を孕んでいるような不思議な気持ちがするのです。だからこそ、私は占いを通して中庸(ニュートラル)な姿勢でいようとしているのかもしれません。

私たちの中には常に存在している倫理と魂、理性と本能の矛盾があります。

倫理的で理性を伴った自分は願望を押し殺しながらこんなことを思います。
「人に迷惑をかけてはいけない」
「こんなことを思ってはいけない」
「ちゃんとした人でいなければならない」
「正しい選択をしなければならない」

一方で、魂の奥底にいる本能的な自分は、まったく別のことを願っています。
「全部を投げ出して逃げたい」
「だめだとわかっているのに」
「正しくなくても、自分の本当の気持ちを選びたい」

この2つの思いはしばしば矛盾します。そして多くの場合、私たちはどちらか一方を悪者にしてしまいます。理性を選んで魂を押し殺すか、魂を選んで理性を否定するか。しかし本当のニュートラルとは、そのどちらにも加担しないことなのだと思います。

「どちらでもないその両方が今の私」と認められたらどれだけ楽か。これはなかなか簡単なことではありません。なぜなら、これまでの人生の中の思い込みや錯覚の影響はとてもとても強い力を持ってあなたの思考を縛り付けるからです。

私の占いの場合、吉凶を明確に分けることはしません。一般的な良いか・悪いかを単純に分けることはできないし、葛藤は成長を促し、安定は停滞を生むことがあります。人生そのものがそもそも白か黒かでは説明できない構造をしているのです。ニュートラルとは中立であることではなく、矛盾を引き受けることなのだと思っています。それは決して不誠実な態度ではなく、むしろ自分の弱さも欲望も未熟さも含めて愛そうとするとても成熟した姿勢です。

ニュートラルとは白と黒の間に立つことではなく、白も黒も、理性も本能も自分の中に同時に存在していることを知りながら、そのどちらか一方だけを真実にしない。そのあいだに広がる果てしないグラデーションを受け入れる。ちょうどよさを確かめていくこと。曖昧で美しい色彩の中を歩いていくことではないかと思います。



ABOUT US

OUR STORY

生きることは息をすること。噛んだり浸したり目を細めたりしびれたりすること。ただそこに在るだけの自分の感覚を愛おしいと思えたら、還って、ただ還って、光みたいに透明になれる。

季節の色や手触りは、瞬きした途端しなやかにうつろう。その変化に頬を撫でられているようだと思う。気づいていないだけで、もしかしたらわたしたちも毎秒生まれ変わっているのかもしれない。

閃いたと思ったら甘い余韻を残して消えていく、それを追いかけていった先に何があるのだろう? そして、その“感覚のカケラ”に触れ、纏うあなたは何を感じるのだろう? 知りたいという願いは、涙が出る寸前の喉の痛みに似ている。

今この瞬間も、見つけてもらえることを願って切なく吐息を震わせているほんとうのあなたへ。この宇宙のどこかで、いつか出会える日を願って。


OUR BELIEF

“わたし” はなにを求めているのだろう──

混沌としたこの世界で大切にしなければならないのは、本当は、その問いであるはず。自分を静かに見つめてはじめて、感情は豊かに色づく。そして体の感覚がゆっくりと呼び覚まされ、空の色、空気のにおいのわずかな変化も心に響くようになる。わたしも、ともに社会に生きる人も、動物も草も海も森も、宇宙の一部。この星を巡るすべての ものと愛を通じて一体となることは、感謝に満ち溢れたとほうもなく美しい体験だ。

そこに在る何かを感じて自分の内側を見つめる、そのきっかけを多くの人に届けられたら。生きるということはあまりにも深く、あまりにも複雑な冒険だから、一緒に答えを見つけていきたい。一人ひとりの魂が満たされて、よどみなく流れる水のように循環していくとき、社会も自然も、きっとあるべき姿に戻っていくと、わたしたちはそう強く信じています。


MATTER

混沌としたこの世界で今、わたしたちが大切にしなければならないものとは何か。一人ひとりが、社会が、自然が、元のあるべき姿にゆっくりと戻っていくために。ディレクターが気になっていること、学びたいこと、深掘りしたいこと=MATTER。

お客様と共に学び・感じ・考えるきっかけとなるようなコンテンツ(記事・インタビュー)を、WEB限定のオリジナルコンテンツとしてお届けしています。