変容。変身。脱皮。
私たちが子どもの頃に見たアニメの影響を知ってか知らずか、無意識でも意識的でも、変身・変容に対する永遠の憧れがあるはずです。
普通の少女が街を守る戦士になる。
平凡な少年がスーパーヒーローになる。
私たちを熱狂させた世界観、そこにはきっと「本当の自分はまだ別の姿をしているはずだ」という、憧れを含む願いが投影されていました。
もしも明日から理想の自分に変われるとしたら。
別の世界線で生きることができるとしたら。
変身する別の自分がいるとしたら。
本当の自分はどんな姿をしているのか。
変われるものなら変わってみたい。
そんな憧れを誰しも持っているのではないかと思います。
ちなみに、占星術の世界ではここ数年は大きな転換点が続いており、人生の変容を促すような影響が多角的に現れています。例としていくつかの天体の影響を挙げて解説させてください。
水瓶座エリアを通過している冥王星はこれまで当たり前だった社会構造や価値観を根底から揺さぶり、
「みんなと同じ」が通用しなくなり、一人ひとりが自分自身の在り方を問われる時代へと誘おうとする。
さらに双子座へ移動した天王星は、知識や情報、コミュニケーションの形そのものを変えようとしています。AIの発展もその象徴でしょう。
人間だけが持っていたはずの知性が機械によって再現される時代に、私たちは改めて問い直されます。
あなたは何者ですか。何を信じ、何を感じ、何を表現しますか、と。
そして、牡羊座で重なり合う土星と海王星は、理想と現実の境界線を曖昧にしながら、新しい自己像を構築するよう促しています。
夢だけでは進めない。現実だけでも息が詰まる。どうやって理想と現実の矛盾を克服した自分自身を再定義していくか、と。
もともとの自分自身を思い出すための変身(メタモルフォーゼ的体験)を同時多発的に促そうとしている、まるで大規模な変身シーンのような星回りはとてもダイナミックです。
このような星回りの影響を受けて、今、多くの人々が本来の自分への戻り方を探しています。社会的な肩書きや周囲から期待される役割。こうあるべきという思い込みを手放したいと願っています。何かを付け足して完成するのではなく、余分なものを脱ぎ捨てていく作業を経て、それらを少しずつ剥がしていった先にようやく本来の輪郭が見えてくる、そんな変容の体験を誰もが求めているのではないかと思うのです。
私は占い師という役割を通して多くの人の人生の節目に立ち会います。現代の占い師という職業は、人のメタモルフォーゼ的体験に立ち会う役割だと感じます。
転職をしてからのキャリアアップとして別の会社に就職する人もいれば、独立をする人もいる。
パートナーに出会い、そこから結婚をする人もいれば離婚をする人もいる。
近場、または遠方へ引っ越したり、はたまた移住を考えたり。
大なり小なりライフスタイルの変化を伴いながら自分自身の生き方も変化していきます。
けれど実際には、「変わる」というより「戻る」に近いことが少なくありません。
ずっと抑圧的な生き方をしていた人がが本音を話せるようになったり、生まれてくる前に設定してきた本来の才能を受け入れたり。
誰かの期待に応える人生から自分の感覚を信じる人生へ移行することは、時に大きな抵抗と負荷がかかることもあります。
ただしその過程を経て、その人にとって最も負担のないありのままの様子へと戻るきっかけを得た人はとても幸運です。
私は、その変容体験を伴走する役割を通していくつかの奇跡に立ち会ってきました。
今は社会全体がそのようなプロセスの真っただ中にあります。古い常識が剥がれ落ちてはいるものの、社会を扇動する新しい価値観がまだ定着していないため先の未来に対して不安になるのも当然です。
さてここで話を戻します。
幼虫が羽化する前、蝶になる過程では一度どろどろに溶け、形を失い、方向を見失い、自分が何者かわからなくなる。
その混沌の中でこそ本当の変容が起こります。
もしも今、あなたの人生がどうにも落ち着かないと感じるなら。もしこれまでの自分が通用しなくなったように思えるなら。それこそが変容の途中なのかもしれません。
問われているのは何者になるかではありません。
何を手放してどんな自分に還っていきたいかということです。
どんな肩書きもどんな成功もさておき、どんな評価も超えた先にある自分自身の輪郭を思い出せるかどうか。
これから始まる新しい時代はその問いに答えた人から軽やかに羽ばたいていくのでしょう。
そのためのメタモルフォーゼを、あなたがあなたに還っていく過程を星の導きだと受け入れ、流れのままに怖がらずに受け入れたいものです。