A to Z COLUMN   by aynoma 


K 「Kosmos



THINGS THAT MATTERのライティング・パートナーである淡の間(あわいのま)が、ブランドの世界観との親和性を構築するキーワードをAからZまで毎月ひとつずつ紐解くコラム。

今月のテーマは、K「Kosmos」。




”kosmos”とはギリシャ語で調和、秩序を意味する言葉。対義語はカオス。混沌のこと。例えば、秋の花コスモスは8枚の花弁が並ぶ調和の様子から名をつけられたと言う謂れを持つ花。8という数字を横にするとインフィニティ(∞)。無限を示す意味を示します。

カオス。まだ名前のついていないもの、意味づけされていない感情、形にならない衝動。ただ在るだけのエネルギーが境界もなく漂っている状態。そこには秩序も美しさもまだ存在してない。形になりうるすべての可能性が開かれ、何にでもなりえるという過剰な自由の中で宇宙が(この世界が)始まりました。

やがてカオスの中に繰り返し(規則性)が生まれます。

点と点が呼応し、関係が結ばれ、同じ形が重なり始める。偶然のように見えたものが少しずつパターン化されていく。そのとき、世界は静かに姿を変えます。混沌は秩序へ。”kosmos”が立ち上がる瞬間です。

"フラワーオブライフ"と言う幾何学図形があります。それはカオスからコスモスが構造化されていく気配をそのまま可視化した構造です。ひとつの円から始まり、重なり合い、広がっていく幾何学。すべてが孤立せずに触れ合い、影響し合いながら全体を形づくっていく。そこには「はじめからこうなるべきだった」という意図すら感じられるほどの狂気たる必然があります。秩序とは外から与えられるものではなくすでに用意されていたもの、内側から滲み出るものなのだと教えてくれます。

スピリチュアルの世界で語られる「すべてはつながっている」という感覚もこの延長線上にあります。結果論としての「全ては意味のあること」というのも、いわばそう言うことです。

出来事は決して孤立せず、関係し合い、意味を持って配置されている。決してそれは優しく整えられた世界という意味ではありません。むしろ思い通りにならないこと、理解しがたい流れの中にこそ意図が潜んでいる。kosmosとは「意味がある世界」であって「都合のよい世界」ではないのです。また、完成もありません。着地もしません。全ては流れのままに、変容しながら進んでいきます。形になったのも束の間、また次の物語が始まります。新しい始まりは常に混沌としています。

トートタロットの21番「The Universe」もまた、コスモスを象徴とさせるひとつの結び目のようなカードです。すべてが配置されてひとつの円環として閉じている世界。完成された構造。しかしその完成は欠けがないことではなく、欠けを含んだまま成立しているもの。矛盾も揺らぎも、過去の痕跡もすべてを内包してなお「ひとつ」として存在している。その姿こそどこか人間の醜さ、世界の非情さでもあります。

カオスから始まり、パターンが生まれ、配置されてひとつの世界としてまとまっていく。

星は絶えず動く。世界は今もなお変化する。

このように、世界(宇宙)は決して固定されません。均衡はいつも揺れて少しずつ崩れ、また新しい配置へと移ろっていく。その繰り返しの中に時間が流れ、物語が生まれます。

占いの現場でよく聞かれる質問、「私はこれでいいのか」「どこかおかしいところはないか」「”普通”でいい」など、つい整ったものや完成されたものに安心を求める傾向があるようです。もはや強制的に自分自身を完全無欠たる秩序の枠の中に閉じ込めようとします。

しかし、実際に完全無欠な何かを目の前にするとたじろぎ、無機質な印象を持つことがあります。あなたはどうでしょうか。少なくとも私は、あります。抜け感や余白、不安定さやリアリティを孕むものは美しいです。頭ではそれがいいと分かっているはずなのに、人は完璧を求めます。

さて長くなりましたが”コスモス”とは、コスモス的な状態とは、一体どのような様子でしょうか。

コスモスの中には常にカオスの因子が潜んでいるのではないかと思います。不完全さの中に宿る完璧な姿、不完全なままでも成立しているもの。

だから完璧でなくていいのです。不完全さこそが調和なのです。

ABOUT US

OUR STORY

生きることは息をすること。噛んだり浸したり目を細めたりしびれたりすること。ただそこに在るだけの自分の感覚を愛おしいと思えたら、還って、ただ還って、光みたいに透明になれる。

季節の色や手触りは、瞬きした途端しなやかにうつろう。その変化に頬を撫でられているようだと思う。気づいていないだけで、もしかしたらわたしたちも毎秒生まれ変わっているのかもしれない。

閃いたと思ったら甘い余韻を残して消えていく、それを追いかけていった先に何があるのだろう? そして、その“感覚のカケラ”に触れ、纏うあなたは何を感じるのだろう? 知りたいという願いは、涙が出る寸前の喉の痛みに似ている。

今この瞬間も、見つけてもらえることを願って切なく吐息を震わせているほんとうのあなたへ。この宇宙のどこかで、いつか出会える日を願って。


OUR BELIEF

“わたし” はなにを求めているのだろう──

混沌としたこの世界で大切にしなければならないのは、本当は、その問いであるはず。自分を静かに見つめてはじめて、感情は豊かに色づく。そして体の感覚がゆっくりと呼び覚まされ、空の色、空気のにおいのわずかな変化も心に響くようになる。わたしも、ともに社会に生きる人も、動物も草も海も森も、宇宙の一部。この星を巡るすべての ものと愛を通じて一体となることは、感謝に満ち溢れたとほうもなく美しい体験だ。

そこに在る何かを感じて自分の内側を見つめる、そのきっかけを多くの人に届けられたら。生きるということはあまりにも深く、あまりにも複雑な冒険だから、一緒に答えを見つけていきたい。一人ひとりの魂が満たされて、よどみなく流れる水のように循環していくとき、社会も自然も、きっとあるべき姿に戻っていくと、わたしたちはそう強く信じています。


MATTER

混沌としたこの世界で今、わたしたちが大切にしなければならないものとは何か。一人ひとりが、社会が、自然が、元のあるべき姿にゆっくりと戻っていくために。ディレクターが気になっていること、学びたいこと、深掘りしたいこと=MATTER。

お客様と共に学び・感じ・考えるきっかけとなるようなコンテンツ(記事・インタビュー)を、WEB限定のオリジナルコンテンツとしてお届けしています。