A to Z COLUMN   by aynoma 


G 「GROUNDING



THINGS THAT MATTERのライティング・パートナーである淡の間(あわいのま)が、ブランドの世界観との親和性を構築するキーワードをAからZまで毎月ひとつずつ紐解くコラム。

今月のテーマは、G「GROUNDING」。





Grounding(グラウンディング)とは、地に足をつけるとか現実的な視点を持って生きるとかそのような文脈で使われることが多い言葉ですが、身体と心と意識をひとつにつなぎ直し「今ここ」という現実に自分を回収する行為のことです。

自然の環境へ近づくことでリラックスすることもまたグラウンディングと言われたりします。”自然な状態”に近づくと、”不自然な状態”だったものがチューニングされるからです。

そもそも前提として私たち人間は見えないもの(心や魂、精神世界)と見えるもの(肉体や物質世界)が同居した世界で生きている存在だからこそ生まれるのが「グラウンディングできているかどうか」という視点だと思います。

二本の足で地上に立って、脳を通して思考の体験ができる人間だからこそ感じられる肉体があるからこそ生まれる尊い経験。目に見えないものだけでも、目に見えるものだけでも、どちらか一つの領域だけでは成り立たないのが私たち人間にとってのグラウンディングです。

自分が何をしたらいいか分からない、わけもなく不安、心配なことばかり浮かんでしまうという状態の時は「グラウンディングができていない」という内側からのメッセージだと思ってください。

こういう時の私たちは、ふわふわと頭の中だけで未来の心配をしたり相手の気持ちばかり先回りして、不必要な思考で頭がいっぱいになってしまいます。

すると、感情の波や他人のエネルギーに飲み込まれ、自分の感覚が遠くなり、軸が揺れやすくなります。これが「地に足がついていない=自分から離れている」という状態。まるで空っぽになった器に他の誰かのエネルギーが入り込んでいるような感じです。

このとき、本当のあなたはどこにいってしまったのでしょうか。

グラウンディングは「自分から離れてしまった自分」、空っぽの器に自分をもう一度戻すためのアプローチ。単に精神的な安定をつくる技術ではなく、自分の命をこの身体で生きる覚悟でもあります。自分の感情を身体で受け止め、感覚を信じ、今立っている場所に責任を持つこと。現実から逃げず、想像や期待ではなく、現実の経験に自分を置いて生き方に責任を持つことなのです。

言い換えるなら 「バラバラに散ってしまった感覚のレイヤーをひとつに束ねる行為」 とも言えます。頭・胸・腹・足・心、それぞれに分かれてしまった思考や感情や感覚が、もう一度ひとつの流れに収束すると、人は自分の中心(センター)に戻り、些細な不安に揺れなくなります。相手の行動やメッセージに一喜一憂しなくなるのも、グラウンディングが効いているサインと言えます。

身体感覚がクリアになると心が言っていることと身体が感じていることが一致し始め、本当の自分が輪郭をもって戻ってくるような感覚があります。

なんとも形容し難いものですが、いうならば「なんか違うな」「なんか気になるな」「これはいいな」というゆらゆらとした導きが心の中に湧き上がるような感覚です。

本当の自分は全てわかっている。
それなのにわかっていることから離れてしまう。
だから不安になる。
そこで感覚を自分に戻すプロセスが必要。


それこそがグラウンディングという行為ではないでしょうか。
人間って不思議ですね。



 知人のガイドを受けて山登りをすることになった私は、自分の身体を支えながら足を守るための靴を用意することになりました。どんな靴がいいか相談したところ、知人はなるべく山肌を感じられる薄いソールの靴がいいよというアドバイスをくれました。「自分の身体で山を登っている」という感覚を体験してほしいから、と。

しかし登山初心者ということもあり、結局お店の人のアドバイスに言われるがまましっかりを足首を支えてくれるハードな底のブーツを購入したのですが(結果的にそのブーツはしっかりと私の足を守ってくれましたが)山肌を踏み締めるという感覚の体験や、山との一体感を得られたかと言われると、そうではなかったかもしれません。景色の美しさも見逃したまま一歩一歩がを踏み出すのがとにかく必死で、始まりから終わりまで「ブーツの中に自分の足がある」という体感のままでした。

何を言いたいかというと、あれは自分の本質的な感覚が肉体や現実と乖離している感じに近かったのかもしれないと振り返っているわけです。



この世界に溢れていることはエネルギーレベルで言えば全てが愛であると思います。

しかし目に見える現実は優しいことばかりではないし、一生懸命生きていればいるほど痛みを感じることばかり起こります。

けれども、それを避けていては経験できないことがたくさんあって、痛みや厳しさに見せかけた本当の体験をおそれから見逃してしまっていることが私自身もまだまだ多いのでしょう。

いまここに自分として軸を立てて生きることの難しさ。
肉体と心を乖離することなく重ねようとすることのややこしさ。
それを早く「面白い」と思えるようになりたいものです。

難しいことを並べてしまいましたが、私が普段自分とグラウンディングをするために・乖離しかけている自分の軸を元に戻すために心がけていることをシェアしたいと思います。

まっさらなページをひらき、抱えているタスクを書き並べてみる。
他にも思うことがあれば感じるままに感情を書き出してみる。
足の裏からマッサージをする。
ゆっくり息を吐き、瞑想をする。なるべく静かな時間を作る。
お腹の調子と相談してごはんを食べる。
なるべく身体を冷やさない。
汗をかく運動をする。

「私はこの人生をこの身体と心ともに生きる」という決意と、日々の小さな繰り返しから生まれるグラウンディングの体験。

「今、自分が何をしたらいいのか分からない」という人がいるなら、上記の内容を無理のない範囲でできることから始めてみてはいかがでしょうか。

すぐには難しくとも小さな積み重ねを繰り返すごとにあなたを本当の自分の場所へとまっすぐ戻してくれるはずです。

ABOUT US

OUR STORY

生きることは息をすること。噛んだり浸したり目を細めたりしびれたりすること。ただそこに在るだけの自分の感覚を愛おしいと思えたら、還って、ただ還って、光みたいに透明になれる。

季節の色や手触りは、瞬きした途端しなやかにうつろう。その変化に頬を撫でられているようだと思う。気づいていないだけで、もしかしたらわたしたちも毎秒生まれ変わっているのかもしれない。

閃いたと思ったら甘い余韻を残して消えていく、それを追いかけていった先に何があるのだろう? そして、その“感覚のカケラ”に触れ、纏うあなたは何を感じるのだろう? 知りたいという願いは、涙が出る寸前の喉の痛みに似ている。

今この瞬間も、見つけてもらえることを願って切なく吐息を震わせているほんとうのあなたへ。この宇宙のどこかで、いつか出会える日を願って。


OUR BELIEF

“わたし” はなにを求めているのだろう──

混沌としたこの世界で大切にしなければならないのは、本当は、その問いであるはず。自分を静かに見つめてはじめて、感情は豊かに色づく。そして体の感覚がゆっくりと呼び覚まされ、空の色、空気のにおいのわずかな変化も心に響くようになる。わたしも、ともに社会に生きる人も、動物も草も海も森も、宇宙の一部。この星を巡るすべての ものと愛を通じて一体となることは、感謝に満ち溢れたとほうもなく美しい体験だ。

そこに在る何かを感じて自分の内側を見つめる、そのきっかけを多くの人に届けられたら。生きるということはあまりにも深く、あまりにも複雑な冒険だから、一緒に答えを見つけていきたい。一人ひとりの魂が満たされて、よどみなく流れる水のように循環していくとき、社会も自然も、きっとあるべき姿に戻っていくと、わたしたちはそう強く信じています。


MATTER

混沌としたこの世界で今、わたしたちが大切にしなければならないものとは何か。一人ひとりが、社会が、自然が、元のあるべき姿にゆっくりと戻っていくために。ディレクターが気になっていること、学びたいこと、深掘りしたいこと=MATTER。

お客様と共に学び・感じ・考えるきっかけとなるようなコンテンツ(記事・インタビュー)を、WEB限定のオリジナルコンテンツとしてお届けしています。