A to Z COLUMN   by aynoma 


E 「  Ether  」



THINGS THAT MATTERのライティング・パートナーである淡の間(あわいのま)が、ブランドの世界観との親和性を構築するキーワードをAからZまで毎月ひとつずつ紐解くコラム。

今月のテーマは、E「Ether」。



火・地・風・水。
この世界の構成要素を四大元素といいます。

昔の賢い人たちはこの4つの元素を元素たらしめるもの、つまりこれらを「元素」としての形に繋ぎとめる「何か」があるのではないかと考えました。

この世界のあらゆる自然の営みを絶えず支え続ける、言うなれば第五の元素。古代の言葉でそれは「エーテル」と呼ばれました。

エーテルは、目に見えないすべてを貫く触媒のような質を持ったものです。
一言で表すとしたら、それは物質でも幻想でもない、ただ「つながり」という現象そのものを表す概念。

自分の身体と心を同化させているのも、人間関係も、目の間の形あるもの全てを形としてあらわすそれがエーテル。
この世の「つながり」の正体。

身体感覚もまたエーテルに媒介されます。

例えば肌に触れた風の冷たさが、ただの物理現象にとどまらず、記憶や感情を呼び起こすのはなぜでしょう。誰かの声が、鼓膜を震わせるだけでなく、心臓の奥に沁み込むのはなぜでしょう。

記憶や感情は目に見えないのに、私たちの身体に染み込んで一体化します。
その記憶を繋ぎ止めているのもまたエーテルの仕事です。

あなたが所属するこの社会のつながりには全て、エーテルの働きがあります。

心と体と魂は別々のものではなく、ひとつの「場」に束ねられているものですが、そこにもやはりエーテルの存在があります。

見えない縁の脈が広がる全ての「つながり」は全てエーテルそのものです。

「わたし」をわたしとして構成する、心と体と魂―

この3つを結ぶために、私たちは常に媒質を必要とします。

魂は「かたち」にはなり得ないものだから、「体」という器を通じて地上に降りてこなければならないからです。

この媒介の質、三層をつなぐ細い橋のことを・・・もう分かりますね。

私を私として、あなたをあなたとして繋ぎ止めているのはエーテルの働きです。

エーテルは質を形にするもの=本質を現実へと落とし込む媒体と考えることができます。

愛する人の手に触れるとき、皮膚と皮膚を越えて伝わるものがあります。
それは電気信号でも、単なる神経反応でもありません。
エーテルを通じて質が交わり、心と体と魂の全層で「関係」が築かれるのです。

それを「相性」と呼んだり、時に「宿命」と名づけられることもあります。

現代の科学はもうエーテルを必要としませんが、見えないもの同士を結ぶ切れない糸として常に私たちをつなぎ留めます。

時にやさしく、時に容赦なく、必要な引き合いへと導きます。

出会いも別れも、予感も記憶も、
そこにあるのは見えない繋がりの元に導かれたもの。

そしてその引き合いの背後には必ず、エーテルという意味のあるつながりの力によって成り立つものなのだと

頭のどこかに留めておいてもらえると、いつかこの話の答え合わせのようなことが起こるかもしれません。

ABOUT US

OUR STORY

生きることは息をすること。噛んだり浸したり目を細めたりしびれたりすること。ただそこに在るだけの自分の感覚を愛おしいと思えたら、還って、ただ還って、光みたいに透明になれる。

季節の色や手触りは、瞬きした途端しなやかにうつろう。その変化に頬を撫でられているようだと思う。気づいていないだけで、もしかしたらわたしたちも毎秒生まれ変わっているのかもしれない。

閃いたと思ったら甘い余韻を残して消えていく、それを追いかけていった先に何があるのだろう? そして、その“感覚のカケラ”に触れ、纏うあなたは何を感じるのだろう? 知りたいという願いは、涙が出る寸前の喉の痛みに似ている。

今この瞬間も、見つけてもらえることを願って切なく吐息を震わせているほんとうのあなたへ。この宇宙のどこかで、いつか出会える日を願って。


OUR BELIEF

“わたし” はなにを求めているのだろう──

混沌としたこの世界で大切にしなければならないのは、本当は、その問いであるはず。自分を静かに見つめてはじめて、感情は豊かに色づく。そして体の感覚がゆっくりと呼び覚まされ、空の色、空気のにおいのわずかな変化も心に響くようになる。わたしも、ともに社会に生きる人も、動物も草も海も森も、宇宙の一部。この星を巡るすべての ものと愛を通じて一体となることは、感謝に満ち溢れたとほうもなく美しい体験だ。

そこに在る何かを感じて自分の内側を見つめる、そのきっかけを多くの人に届けられたら。生きるということはあまりにも深く、あまりにも複雑な冒険だから、一緒に答えを見つけていきたい。一人ひとりの魂が満たされて、よどみなく流れる水のように循環していくとき、社会も自然も、きっとあるべき姿に戻っていくと、わたしたちはそう強く信じています。


MATTER

混沌としたこの世界で今、わたしたちが大切にしなければならないものとは何か。一人ひとりが、社会が、自然が、元のあるべき姿にゆっくりと戻っていくために。ディレクターが気になっていること、学びたいこと、深掘りしたいこと=MATTER。

お客様と共に学び・感じ・考えるきっかけとなるようなコンテンツ(記事・インタビュー)を、WEB限定のオリジナルコンテンツとしてお届けしています。