A to Z COLUMN   by aynoma 


B 「Being」



THINGS THAT MATTERのライティング・パートナーである淡の間(あわいのま)が、ブランドの世界観との親和性を構築するキーワードをAからZまで毎月ひとつずつ紐解くコラム。

今月のテーマはB、「Being」ただ在ること。



「Being」、ただ在ること。


 「Doing(〜(なにか)すること)」の対極にある「Being(ただ在ること)」という考え方があります。何かを成し遂げようとする「行動モード」から離れ、「今この瞬間にただ在る」「無理に変えようとせず、あるがままを感じる」という静かな意識の状態のことでもあります。



「何かを所有する自分」「何かを演じる自分」「なにか背負わされている自分」ではなく、そうしたものを超えた「本質としての私=存在」。


ただ、在るということ。
あなたがとわたしが、いま生きていること。

なにかをしなければと、ふと気づけばいつも焦っている。
SNSも、未来の予定も、人との関係も、すべてが「どうするか」で埋め尽くされている。
なぜ先のことを考えてしまうのか。
その先の結果を求められている様な気がするから。
なにかをしなければいけない。
なにかをしているのに、なにかを成し遂げているような気がしない。
すでに存在しているのに、輪郭が見えてこない心もとなさ。

「ただ在る」ということについて考える。
英語で言えば「Being(ビーイング)」。
なにかをすること=Doingとは対極にある、なにものにもならない、ただそのままの自分としてそこにあるという在り方。

なにもしない、ではなく、なにかになろうとしない。
だれかであろうとしない。
よく見せようともしない。
ただそこにあるだけ。
その感覚を掴むのがなかなか難しいのかな、足りていないと感じる人が多いように感じます。

何もしないことをしてみましょう。
手を止めて、目を閉じる。窓の外の風の音に耳を澄ます。
心臓の音、まぶたの奥の光、衣擦れ。室内の温度。
何を感じますか。


「ただ在る」ということ。
ただそこに在るだけ、あなたがそこに生きているだけ。




なにもしないことに罪悪感を抱いてしまうのは、なぜでしょうか。
成果を出さないと意味がないと教えられてきた影響もあるかもしれませんし、無意識に取り入れている情報に飲み込まれて、思い込みが発生していることも考えられます。

「あなたはそこにいるだけでいい」「そのままで価値がある」なんて言葉は、綺麗事で現実味に欠けたように聞こえるかもしれません。


しかし、だからこその「Being」について考えてみたい。
ただ「在ること」を感じてほしい。
なにかを「する」ことによって得られる価値よりも、なにかを「していない」時間に滲み出す思いや時間や体験こそが、あなたの心に光を宿します。

例えるなら見えない根っこを深く張るようなものかもしれません。
1日に少しでも「ただそこに在るだけ」の時間を作ってみましょう。
表面ではなにも起きていないように見えても、内側では静かに、でも確実に、自分との対話と信頼関係が深まっていきます。


「いま、ここ」にしかない感覚を味わう。
日常の一瞬を、まるごと肯定する。
香り、手触り、温度、静けさ、心の揺らぎ。
誰のものでもない時間を自分のために選ぶ。

それは騒がしい社会へのちいさな抵抗であり、自分に対するちいさな祈りのような行為なのかもしれません。


何もできなかったとか、叶わなかったと思う日こそ、自分に声をかけてあげてください。
「でもわたしはここに、ちゃんと在ったよ」と。


ABOUT US

OUR STORY

生きることは息をすること。噛んだり浸したり目を細めたりしびれたりすること。ただそこに在るだけの自分の感覚を愛おしいと思えたら、還って、ただ還って、光みたいに透明になれる。

季節の色や手触りは、瞬きした途端しなやかにうつろう。その変化に頬を撫でられているようだと思う。気づいていないだけで、もしかしたらわたしたちも毎秒生まれ変わっているのかもしれない。

閃いたと思ったら甘い余韻を残して消えていく、それを追いかけていった先に何があるのだろう? そして、その“感覚のカケラ”に触れ、纏うあなたは何を感じるのだろう? 知りたいという願いは、涙が出る寸前の喉の痛みに似ている。

今この瞬間も、見つけてもらえることを願って切なく吐息を震わせているほんとうのあなたへ。この宇宙のどこかで、いつか出会える日を願って。


OUR BELIEF

“わたし” はなにを求めているのだろう──

混沌としたこの世界で大切にしなければならないのは、本当は、その問いであるはず。自分を静かに見つめてはじめて、感情は豊かに色づく。そして体の感覚がゆっくりと呼び覚まされ、空の色、空気のにおいのわずかな変化も心に響くようになる。わたしも、ともに社会に生きる人も、動物も草も海も森も、宇宙の一部。この星を巡るすべての ものと愛を通じて一体となることは、感謝に満ち溢れたとほうもなく美しい体験だ。

そこに在る何かを感じて自分の内側を見つめる、そのきっかけを多くの人に届けられたら。生きるということはあまりにも深く、あまりにも複雑な冒険だから、一緒に答えを見つけていきたい。一人ひとりの魂が満たされて、よどみなく流れる水のように循環していくとき、社会も自然も、きっとあるべき姿に戻っていくと、わたしたちはそう強く信じています。


MATTER

混沌としたこの世界で今、わたしたちが大切にしなければならないものとは何か。一人ひとりが、社会が、自然が、元のあるべき姿にゆっくりと戻っていくために。ディレクターが気になっていること、学びたいこと、深掘りしたいこと=MATTER。

お客様と共に学び・感じ・考えるきっかけとなるようなコンテンツ(記事・インタビュー)を、WEB限定のオリジナルコンテンツとしてお届けしています。