TTM対話録 #02
杉谷惠美さん <後編>

2021.11.26
TTM対話録 #02<br>杉谷惠美さん <後編>

 

【自然の循環、経済の循環、自分の体の循環に、境目はない。】

 

 

「自分が『気持ちいい』と感じながらできることが大切」

「そこに我慢や犠牲が伴うんだったら、一切やるべきじゃない」

と断言する杉谷惠美さん。THINGS THAT MATTERとのコラボレーションに際し、サステナブルな世界を目指すにあたっての思いを武笠綾子との対談で語った。

後編となる今回は、社会課題や地域課題を解決するためにまず大切にすべき、「自分」という存在の「整え方」について掘り下げる。

◆ゲスト: 杉谷惠美さん(株式会社ビーバイ・イー代表取締役社長/ CBDAYSプロデューサー)

◆聞き手:武笠綾子(THINGS THAT MATTER ディレクター)

>>>前編はこちら「『環境課題の解決=ものを買わなければいい』なの?」

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武笠:今まで、自分の声をちゃんと聞いてこなかったな、と思って。聞いてきたつもりだったんですけど、十分ではなかったのかもしれません。私は、今自分が「心地よい」と感じることって、絶対に未来につながると信じてるんです。

杉谷:そうですね、お互いのブランドに共通しているのは、その時の「気持ち」を大切にしていることだと感じます。お客様が自分をもっと愛して、慈しんであげられる時間に寄り添えるものでありたい。

提供:CBDAYS MOMENT

 

武笠:まさに、そうした時間を過ごしていただくために、「THINGS THAT MATTER」ではお洋服だけでなく、ピローケースなども提案していきたいと思っています。

杉谷:いいですね、「セルフラブ」という考え方も少しずつ浸透してきましたよね。

今、自分との向き合い方としてよく言われるようになっていると思うんですが、子どもでもパートナーでも、友人でも家族でも、誰かを愛そうと思ったら、まずは自分を愛していないと無理じゃんって。我が身を顧みながらも「そりゃそうだ」と思い知らされます。

武笠:本当にその通りですね。

杉谷:自分を整える、癒していく方法は人それぞれです。瞑想や、ヨガ、という人もいれば、食べ歩き、という人もいるでしょうし。素敵なお洋服を着ることや、CBDAYS MOMENTをつける、ということもその一つになれると思います。

本当に、私たちっていろんなことに追われてしまっていると思うんです。このコロナ禍で余計だと思うんですが、不安を感じたり、焦ってしまったり。

忙しい毎日の中で時間をつくるのはすごく大変ですが、10分でも、5分でも、自分を整えてあげる時間は「あえて」つくってみてほしいと思います。

武笠:寝る前の少しの時間とか、お風呂に入っている間とか、意識するだけでもだいぶ変わりますよね。

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武笠:CBDAYS MOMENTさんのシリーズで、「DEEP SILENCE」「POSITIVE FLOW」「EROTIC POETRY」の3つと今回コラボレーションさせていただきました。

 

 

 

 

武笠:もともとこの製品が素晴らしいのは、モーメントを想定されて企画化されていることだと思います。

DEEP SILENCE」でリラックスして眠りにつけたら、「POSITIVE FLOW」の前向きな気持ちにつながるし、「EROTIC POETRY」で満たされた性のエネルギーを楽しむことができる……と、ストーリーを思い浮かべることができたんです。

杉谷:商品をデザインンする際、お客様がどんな気持ちで、どんなシーンでポーチから取り出すか、と具体的な姿をイメージしながら考えていきました。

武笠:素敵ですね。この3つのモーメントがあることで、自分の時間をつくるためのきっかけになりやすいと思います。私も日頃から大切だと感じる要素が散りばめられていて、お洋服でもそれを表現できたらいいなと思いました。

 

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武笠:杉谷さんが、一番「癒されている」と感じるのはどんな時ですか?

杉谷:やっぱり、土に触れているときです。これまで、日本中の農地をめぐってきました。その中で、農業の担い手の高齢化や、それによる耕作放棄などたくさんの課題が見えてきて──。

10年以上前ですが、高知県のゆずを使った商品を手掛けました。それまで、ゆずは果汁が使われたら、皮は「産業廃棄物」としてお金をかけて捨てられていたんです。それを私たちが買い取り、香りの抽出のために使いました。農家さんにとっては収入になりますし、お客様はフレッシュな天然のゆずの香りで癒されるし、誰もがハッピーになる循環の仕組みだと信じていました。

でも、当時は「捨てるものを使ってるなんて書かないでください」って言われましたよ。それが今では「サステナブル」という言葉になってびっくりしています(笑)。

杉谷:「B by E」の製品は、その半分程度を障がい者の就労施設に発注しています。今、就労施設の平均月収は19,000円だと言われています。よく、障がい者の人たちがつくったクッキーや木工品が道の駅などで売られていますが、本当は経済活動の中で事業者が「仕事」として発注し、適正な対価が支払われるようにしなければならないんです。

機械設備が整っている工場に頼めば3日で仕上がるところを、1週間、2週間はかかります。でも、「一緒にやる」と決めたらそれを見越してスケジュールを立てればいい。パッケージのシール貼りも手作業ですが、とっても丁寧に仕上げてくださります。

一緒にシール貼りをすると、施設の人たちが本当に素敵で、ピュアなエネルギーを持っているということがわかります。ぜひ武笠さんをお連れしたいです。

政治家ではないですし、実際にできることは限られています。でも、社会課題を「どうやって解決できるか」を「考える」ことはできる。

私は、これまで本当に自分の人生を重ねるように商品をつくってきました。自然の循環、経済の循環、自分の体の循環──それらに、何一つ境目がないです。循環について考えている時が、一番自分らしくいられると思っています。

武笠:とても勉強になります。私も、日本各地の染めの職人さん、工場の方達に会うんですけど、後継者がいない、コロナで仕事が減っているという方が本当にたくさんいます。

私にできることは微力ですが、そうした技術を丁寧に使って服をつくらないといけない、と感じます。自分のこの手を使って、少しでもポジティブな思いを届けられるようなブランドであれたら、と思います。

杉谷:私は、「これは環境にいいです」「サステナブルです」と高らかに言わなくてもいい社会になっていくことが理想だと思っています。武笠さんがしようとしていることも、まさにそういうことですよね。

今の時代はモノだけでなく、ブランドの持つストーリーに共感して、選んでくださる方が増えているので。

武笠:そうですね、そうしたお客様も含めた大きな循環をつくっていくことができたら素敵だなと思います。

 

◆杉谷惠美さん/ プロフィール

ビーバイ・イー株式会社代表取締役社長。24歳で、子宮内膜症と成人性アトピーと診断され、その後植物療法を学ぶ。その後、オーガニックスパサロン「シンシア・ガーデン」をオープン、「ママバター」「リンレン」「ネロリラボタニカ」など数多くのオーガニック&ナチュラル製品を開発。2020年にスタートした「CBDAYS MOMENT」では柴田陽子氏とともにプロデューサーを務める。

<クレジット・写真>

Portrait : Kaori Nishida

ほか、CBDAYS MOMENT提供

 

 

※CBDドロップオイルとCBDロールオンオイルにつきましては、ECサイトでのお取り扱いではなく、POPUPやFITTING DAYでのお取り扱いとなりますため、開催の際はぜひお立ち寄りください。

 

 

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